デジタル元年


以前、このHABU'S VOICEに銀塩主義というエッセイを公開しました。
あれから3年、カメラやフィルムの環境はすっかり変わってしまいました。
今は、Pentax K-7、オリンパスPEN(EP2)、RICOH GRDとCX3
を使っています。


写真を始めた時から約30年間、リバーサルフィルムを使い続け、
苦労しないでも思うように撮れるようになったのに、
写真を取り巻く環境が予想を超えるスピードで変化し、
写真でご飯を食べている僕としても、無視出来なくなった
というのが、本音です。

毎年毎年、より高画質でしかも値段も安い新製品が出るというのも
約30年同じNikon F3で撮り続けてきた僕には、ついていけない
世界でした。
しかし、高画質競争もそろそろ飽和点まで辿り着き、道具としても
魅力的なカメラが出てきました。
自分の仕事である写真集作りも、かつての4色分解というアナログの
方法は姿を消し、リバーサルフィルムをスキャンしてデジタルデータ化し、
印刷する方法に変わりました。
今ではデジタルデータの方が、思う通りに印刷結果が得られるように
なってきました。


写真展のためのオリジナルプリント作りも、こだわって使い続けてきた
富士フィルムのディープマット紙は、アナログでの制作が出来なくなりました。
やはり、スキャンしてパソコン上で色調整していく、アルジェントという
システムでプリントを作っていきます。
多くのアナログ用印画紙が姿を消すなか、この印画紙が残っただけでも
奇跡といえるかもしれません。
表現者として、ネットや電子書籍とも付き合っていかなければなりません。


そういう訳で、好きなリバーサルフィルムも使いつつ、デジタルを少しずつ
導入しています。
まだまだ画像を処理するパソコンやモニターの環境が整っていないため、
勉強しながら作品として発表出来るものを、少しずつ増やしています。
おかげで、カメラの雑誌や本を読んで知識を増やしたり、
欲しいカメラやレンズを探す楽しみも久々に味わっています。
作品としては、まだまだリバーサル時代の未発表のものがたくさんありますし、
この先2〜3冊はリバーサルフィルムによる写真集になると思います。
今年の写真展も、原板はフィルムです。


スライドプロジェクターで大きなスクリーンに映写し、一杯飲みながら
セレクトをするのは、僕にとって至福の時間です。
パソコンのモニターを見ながらのセレクトとは別物だと思いますが、
フィルムにはフィルムの良さがあり、デジタルにはデジタルの良さがある、
そう思うことにしました。
だから当分は、2足のわらじになりそうです。
デジタルでも思う通りの写真を撮れるよう、自分の頭を柔らかくして
いこうと思います。


2年ほど前「空の撮りかた」という本を作ろうと思いましたが、
今から写真を始める人や初心者はまず、デジカメや携帯で撮るのだろう
ということになり、僕がデジタルを極めてから作ろうという話しに
なりました。
その時点では、デジタル参入はもっと先だろうと思っていましたが、
世の中の変化は想像以上に早かったです。


今月、初めて雑誌にデジタル作品を発表したら
「Deview HABU」(デビュー)
というタイトルを付けられました。
確かに、デジタルデビューですが・・・。


技術はいつの時代にも革新し、変化していくものです。
フィルムでもいつも思っていましたが、どのカメラでどのフィルムサイズで
どんな画質でというのは、大きな問題ではない。

何をどう撮るか
何をどう伝えるか

それがいちばん大切なこと。


カメラや伝えるメディアや表現方法が変わっても、HABUはHABUでいる。
そう思いながら、時代の変化と付き合っていこうと思います。




2010年5月15日

HABU