まにあうかもしれない


古い話ですが、僕が高校生の時、ビートルズはまだ解散してなくて、
世はフォークソングブームで、僕は音楽に夢中でした。
自分で詩を書き、曲をつけ、人前で唄う。
ヒーローは井上陽水や吉田拓郎、かぐや姫でした。


1972年、高校2年の時に買ったLPレコード、吉田拓郎の「元気です」というアルバムは、
僕に衝撃を与えました。
この中から大ヒット曲「結婚しようよ」「旅の宿」「夏休み」「たどり着いたらいつも雨降り」
などが生まれました。
独自の世界を歌った「高円寺」「春だったね」など、ほんとによく聴きました。
それも、自分が作ったステレオで。
当時、秋葉原に部品を買いに行って、アンプやスピーカーを作るのが、流行っていました。
ほんとです。


このアルバムの中に、「まにあうかもしれない」という曲が入っていました。
この曲は僕の人生を、何度も強く支えてくれました。




まにあうかもしれない
作詞・作曲 / 吉田拓郎


僕は僕なりに自由に振る舞ってきたし
僕なりに生きてきたんだと思う
だけど だけど 理由もなく
めいった気分になるのはなぜだろう


思ってることとやってることの
違うことへのいらだちだったのか
だから僕は自由さをとり戻そうと
自分を軽蔑して 自分を追い込んで


なんだか自由になったように
いきがっていたのかも知れないんだ
まにあうかもしれない いまなら
今の自分を捨てるのは今なんだ


まにあわせなくては今すぐ
陽気になれるだろう今なら
大切なのは思い切ること
大切なのは捨て去ること


そうすりゃ自由になれるなんて
思っているほど甘くはないけど
だけど今は捨て去ることで
少しくらいはよくなると思えるんだ


まにあうかもしれない いまなら
まにあうかもしれない今すぐ


なんだか自由になったように
いきがっていたのかも知れないんだ
まにあうかもしれない いまなら
今の自分を捨てるのは今なんだ


(1972 SONY MUSIC RECORDS INC)




僕がサラリーマンを辞めようとしていた時、
僕が写真家を目指し、オーストラリアを放浪していた時、
いつもこの曲が頭の中で流れていました。
人生を変えた一曲、といってもいいと思います。


僕は今までたくさんの、しがみつくべき過去を捨ててきました。
そのたびに新しい自分になるんだと、気持ちを入れ替え、執着を捨ててきた気がします。
今思うと捨てなければ良かったなと思う、価値あるコレクションも捨ててきました。
たくさんの懐かしい宝物もありました。


物だけに限らず、仕事も人間関係も、あるのが当たり前だと思っていたものを手放す。
しがみついていた何かとの関係を、手放す。
すると、新しいドアが開きます。
これを僕は、経験で知りました。
前を向いて、執着を断ち切るのです。


今まで僕は、7回引っ越しをしてきました。
引っ越す理由は様々ですが、自分の人生における、その場所の役割が終わった、
そう考えることにしています。
次のステップに進むのです。


引っ越すたびに、ぜい肉がそぎ落とされて、本当に自分に必要なものだけが残る。
そんな気がします。
引っ越したらまた、知らず知らずしがみついていた何かを捨てて、
新しい自分になって、新しい何かに挑戦したいと思っています。



2007年4月9日

HABU