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カメラの話
26歳の時、出張で初めてニューヨークに行きました。
見るもの全てが新鮮に見えて、持っていったコンパクトカメラで写真を撮りまくりました。 帰国してプリントしてみたのですが、なぜか感動したあの空気感も、光の感じも写っていませんでした。 とても悔しくて残念でした。 これはカメラのせいだなと考え、中古のペンタックスKMという一眼レフカメラと28mm・50mmの レンズを買い込み、趣味の写真が始まりました。 フィルムはプロが使っているリバーサルがいいらしい。 プロのカメラマンなどに撮影の注意点やコツを聞きながら、思うままに撮り始めました。 当時会社では広告の制作を担当していたため、これは自分の感性を磨くための最高の訓練方法だと気づき、 雑誌の中の気に入った写真を真似して撮ってみたり、カラーフィルターを使って色を変えてみたり、 どんどんエスカレートしていきました。 2年後、ボーナスをつぎ込んで当時のプロがみんな使っていたNIKON F3を買いました。 モータードライブ付きの、カシャカシャと連続して撮れるタイプで、当時としては頂点の機種です。 このカメラは昨年製造を終了してしまいましたが、今でも僕のメインカメラとして活躍しています。 このカメラの良さはまず、通常は95%以下のファインダー視野率が100%だという点です。 フィルムの隅から隅まで使える、つまり、フィルムの性能を100%引き出せるのです。 そして、明るくてみやすい。 天候の悪条件も想定されており、何度落下させても動くくらいとにかく頑丈で、バッテリーが長持ちで どこでも手に入るなど、道具として本当に優れている。 電子パーツ部分を今風に変えてでも、ぜひ再発売を望みます。 小遣いを貯めては、レンズを増やしていきました。 当時はズームレンズの性能がイマイチで、単焦点をひとつずつ増やしていきました。 次にどのレンズを買おうか、本を読んだり、お店を回ったりするのはかなり楽しかったです。 会社を辞めてオーストラリアに渡り、帰って来たもののあてもなく、かつての上司の誘いで企画会社を 2年半経営しました。 当時はバブル真っ盛りで、金回りも良く、カメラとレンズを買い集めることにはまりました。 REICA Rにエルマリート28mm、ライツミノルタCL、コンタックスT、45版トヨフィールド、NIKON F4。 そして、アンティックのカメラ達。 その後、改めて写真家を目指した時、殆どはお金に困って売ってしまいました。 カメラが趣味の人と写真が趣味の人は、基本的に違う気がします。 カメラ趣味の人はスペッックやぼけ味などにこだわり、人より威張れるカメラを持つことに喜びを 見出します。 写真好きな人は自分が求める写真が撮れるなら、機種にはこだわらないものです。 僕は一時、カメラオタクに陥ったため、カメラの細かいことに妙に詳しくなりましたが、 今となっては良い経験だったと思います。 そんな中で出会った、プラウベルマキナW67は中判フィルムを使う傑作機で、今も旅に連れて行く カメラの一つです もうひとつ中古で買ったNIKON 28mm F2というレンズは、僕の作品の殆どを生み出したレンズで 今も現役です。 最近の機材についてお話しします。 メインは今でもNIKON F3です。 僕にとって必要な機能は全て備えており、頑丈で自分の体の一部のように使えます。 予備にもう一台ありますが、基本的に20年選手を使います。 レンズは20mm F2・8、28mm F2、50mm F1・4に加え、最近はシグマの100〜300mm F5・6。 これが基本セットです。 通常サブのボディとして、F70かF80を持っていきます。 スポット測光やオートフォーカス、小さなストロボが必要な時に使います。 僕は昔の人間のため、どうしてもレンズ側での露出リング設定に慣れていて、とっさの時はF70の方が 使いやすい。 見た感じはおもちゃみたいだけれど、良いカメラだと思う。 中古だと安いです。一万円台で買えるのではないでしょうか。 モロッコの人混みなどコンパクトカメラを持っていきたい時は、リコーGR1を持っていきます。 最近はカレンダーなど大きく写真を伸ばす仕事も多いので、段々に中判フィルムで撮ることも 増えてきました。 F3をメインと考えた時は、携帯性の良いプラウベルマキナW67(WIDE NIKKOR 55mm)を 持っていき、ここぞという時に使います。 中判メインと決めた時は、ペンタックス645Nに35mm・75mm、そして望遠ズーム。 これは撮影データがコマ間に写し込めるので便利だなと思いましたが(F80も同じ)、 データに頼るより、カンを養った方が良いように思います。 ついでですが、三脚は軽いものが好きで、マンフロット440に141RCの雲台です。 これは、雲台を買い替えながら12年使っています。 35mmだけの旅には、ベルボンのカルマーニュ530に雲台はマンフロットの自由雲台352RCを 組み合わせています。 マンフロットの雲台はクイックシューが使いやすく、カメラを手持ちでもアングルを決め三脚を セットしてからの調整がスムーズでストレスがありません。 ここまでカメラに興味のある人以外には、チンプンカンプンの話かと思いますが、この類いの質問も 多いので、一度書いておこうと思いました。 長年カメラを使ってきて思うことは、カメラが良くなったからといって写真が上手くなるわけではない ということです。 あまり浮気をせず、気に入った一台を使い込んで、自分の体の一部のように使いこなせるようになる ことです。 思った通りに撮れる これに勝るものはありません。 今のカメラには、様々なプログラムや機能が備わっています。 その中から自分にあった撮り方を決めて、光の状態を見て、少しずつ露出を補正する。 そんな方法が今のフィルムカメラとの付き合い方なんだろうと、僕は思っています。 2005年10月1日 HABU |
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