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雲の話
小学生の頃、原っぱに寝転んで流れる雲を見ながら、何の形に見えるか
友達と言い合うのが好きだった。 夏休み、田舎の川に魚を捕りに行くと、田んぼの上にかっこいい入道雲が 盛り上がってきて、走って帰ったけどいつも雨にびしょ濡れになった。 秋になって、運動会の練習。 空の高い所にイワシ雲やウロコ雲があるのを見ると、なぜか嬉しくなった。 友達がレコードプレーヤーを手に入れ、手近にあったバッハの「G線上のアリア」 を聴きながら、屋根の上にあがって夕焼けを見た。 空を見て、初めて感動した。 飛行機雲を見つけると、いつも得した気分になった。 中学生になった頃からあまり雲を見るということはしなくなったけど、 夕焼けだけはじっくり見るのが好きだった。 恋をした時、彼女とよくいろんな見晴らしの良い場所へ夕焼けを見に行った。 写真家を目指し、オーストラリアを初めて旅した時、見渡す限り何もない荒れ地も 雲の存在で美しい風景になることを知った 旅をしていて、雲がない快晴の日々が続くと、イライラしてくる。 嵐が来ると聞くと、嬉しくなる。 鑑賞料は、ただ。 でも、思い通りにならない、偶然の出会い。 そんな雲のパフォーマンス。 後ろも横も、また別のパフォーマンス。 雲がどうして出来るかとか、どうしてあんな形になるかとか、 どこへ行けばこんな雲が見られるとか。 そんなことには興味ない。 今日頭の上にある、それが僕の雲。 その言葉に耳を傾ける。 それが出来る精神状態は、僕のいいとき。 だから旅が好きだ。 僕は雲という被写体に出会ったことを、心から嬉しく思う。 そろそろ、また雲を追いかける旅に出掛けたくて、うずうずしている。 2005年5月5日 HABU |