1.  雲を追いかけて



         雲を追いかけて 
         風のように 
         あてもなく 
         どこまでも
 
       そんな旅をしてみたかった



空は不思議な被写体だ。
真っ白なキャンパスと同じようにどんな感情を投影しても

いいはずなのだが、ねじ伏せることができない。
自分の目線や気持ちや体を、ゆっくりと時間をかけて
シンクロさせていかないと、空は微笑んでくれない。

構図を考え、渾身のシャッターを押したつもりが、
「上手な写真」で終わってしまう。
そこには感動したはずの空のバイブレーションも、
何の感情も写っていない。

幾日も旅を続け、自分の心と話し合い、町の生活

リズムや情報の嵐が頭や体から抜けてきた頃、
ふと足を止め、見上げた空が小さな声でささやく。
「今だ、撮れ!」

2004年11月11日発売
A4版変型152ページ、ソフトカバー
¥2,800+税 PIE BOOKS刊